Solas / The Farlanders / Suzanne Vega / Tracy Chapman / Tanita Tikaram



Solas - The Hour Before Dawn

The Hour Before Dawn  女性歌モノってのもこれまた結構な数のCDが散乱していて、整理するのもなかなか大変なのだがちょこっと聴いて火が点くと立て続けに聴きたくなるもんだ。ソーラスっていう何となく魅惑的な名前を持つバンドのCDを発見してしまった。何となく哀愁を帯びるようなジャケットに惹かれて、そしてものすごくケルトだったような気がして聴いてみる。

 2000年リリースの「The Hour Before Dawn」で、驚くことにアメリカ在住のアイルランド系アメリカ人が集まって組んだケルティックバンドの作品。なので一応アメリカのバンドの作品ということになるのだが、いやこれがまたどこから聴いてもケルティックな音で、普通に聴いたらどこの国のバンドかわからない。ただ、知ってて聴くとやっぱりどこか垢抜けている感じがするのは多分知識と偏見からだろう(笑)。

 結構な枚数のCDをリリースしていて、本作「The Hour Before Dawn」からはボーカリストが変わっているらしい。ってもこのアルバムしか持ってないからよくわからないんだけど、これが一番良い作品じゃないか、と薦められたので持っているだけなのだ。基本的にオープニングから全てゆったりしたケルティックなサウンドでフィドルも良い感じに鳴っているのが好き。そしてもちろん美しい女性の歌声が響き渡るのも素晴らしい。コーラスワークとかもしっかりしていて、結構しっとりと聴かせる歌が多いかな。その中でジグが入ってくるからこれまた楽しくなってくる。ケルティックな旋律だけで構成されるジグって凄く好きなんだよね。気分が高揚してきて嬉しくなってくるんだもん(笑)。

 ギターから始まり男性ボーカルで通す曲なんてのもあるんだけど、パートパートだけ聴いているとどこかアメリカのカントリー的な雰囲気もするところが面白いな。他の音とかアレンジが入ってくるとやっぱケルティックかなと思うけど、ギターとコーラスだけだとカントリーチックで不思議。こういう融合が音楽を世界に渡らせてより豊かなモノにしたのだ良い♪

The Farlanders - Moments

Moments  ちょこっと変わった音を発見したのでご紹介…。一時期トラッド系列の音を色々と集めていたことがあって、基本的に英国やアイルランド、ケルトのものを中心にしていたんだけど、結構あちこちにその系譜からでてきたものなんてのもあったり、そもそも土着的な民族音楽に最近の味付けしたモノとか、女性が歌っていれば結構それだけでも良し、みたいなのもあってあれやこれやとCDがあったりするのでザラッとね♪

 2000年リリース「Moments」。ロシアの民謡ジャズトラッド女性歌モノバンド…、っつうのかなぁ(笑)。アルバムタイトルになった「Moments」っていうのはロシアのライブハウスのことで、このアルバムはその「Moments」っていうライブハウスでやったライブを収録したアルバムなので、ライブ盤らしい。聴いてみるとわかるんだけど何処がライブなんだ?と思うくらいに完璧なアンサンブルとテクニックで録音されているのでわからん。確かに合間合間に歓声が入っているのでライブ盤なのは確かなんだけどさ、エコーとかも完璧でさ。まぁ、最近のだからおかしくないけど、凄い。

 音的には基本アンビエント系の雰囲気で美しい女性の歌声が広がるという好きなパターンで、旋律はロシア民謡的なんだろうな、こういうのって。男性が歌うのもあるんだけどこの人がまた高名な方らしく、貴重なセッションでもあるらしい。そういう基本情報が押さえられていないのが問題なんだが…(笑)。何曲かはバンド単位での演奏になるんだけどその時のエレクトリックフレットレスベースのブイブイさが凄くて、ジャズ的とも言われるところかな。でも、聴いているとやっぱり落ち着いた民謡的なメロディーを中心に雰囲気と空気感で場を創り上げる音楽かな。エコーやコーラス感が強いので当然透明感も高まり、いわゆるロックな世界ではなく、透き通る川の底を見つめながら流れるそよ風に身を任せる、みたいな雰囲気あるかな。

 あんまり聴いたことのない楽器の音色もするし、拍子にしてもちょっと違う…、やっぱり民族系の音って面白いよね。ず〜っと聴いていたいとは思わないけどたまに聴くと凄く新鮮で感性が磨かれる。タイトルが「7/8」とか「Blues」とかってあるんだけど「Blues」って、そういう解釈?みたいな(笑)。いや、新鮮だよ、ほんとに。何気に変拍子とかも普通にやってるってのも恐ろしいけど。結構プログレ好きな人は好きなんだろうな、と思った。最後はもの凄い盛り上がりを見せてくれるのでアンビエント系とか何とか関係なしにミュージシャンの楽しみ的に滅茶苦茶ハイテンション。ここまで聴ければ凄く面白いね、こういうのは。なかなかスカッとするライブ盤、良い♪

Suzanne Vega - Solitude Standing

Solitude Standing  バブリー全盛期の1980年代、何もかもが派手に、そしてハチャメチャなことも許された時代だったと今思い返してみるとそんな何でもありの時代だったのかな、と。こと音楽産業に於いても全く同じコトで、MTVが音楽業界を変えた、LAメタルがシーンに乗り出てきた、マドンナのようなセックスシンボルがアイコンとなりマイケル・ジャクソンが優美な踊りを披露する、後半にはラップらしきサウンドが台頭してきたとこでエアロスミスが再復帰、本当に何もかもが派手で、地味なことなどひとつもなかったんじゃないだろうか。デヴィッド・ボウイですらスーパースター時代という今では思い返したくもない時期を過ごし、この時期、アングラなものはもちろんあったのだろうが、何もかもが派手だった…。

  Suzanne Vega - Solitude Standing Solitude Standing  そんな中、1987年に静かに盛り上がったひとつの象徴があった。スザンナ・ヴェガという女性の歌う質素なフォークソングだ。デジタル音楽とハードロックがチャートを占めている中、彼女は非常にシリアスな「Suzanne Vega - Solitude Standing - Luka Luka」という児童虐待をテーマとした曲を送り込んでいた。こうした人間の本質についてシンプルに語り上げたサウンドを聴いた人々は徐々に浮かれすぎていた世の中の音楽シーンから急速に身を引くかのように彼女の音楽を真剣に聴くようになっていった。そんな、時代を切り裂いたとも言うべきアルバムが「Solitude Standing」という彼女のセカンドアルバム。時代を考えてみると決して売れるべきモノでもないし、アルバムの中味だって特に売れ線の曲があるわけじゃない。しかし売れた。世の中上手くできてるなぁ、って思うひとつの契機でもあるな。

 で、その「Solitude Standing」、まずジャケットが何とも可愛らしいじゃないですか(笑)。一発で覚えるよね、こういうのってさ。それで最初に針を落とすとだな、いきなりアカペラが始まるんだよ。「え?」って思ったもんね、それは。しかも音のバランスが綺麗に取れたアカペラじゃなくってさ、バンドと一緒にやって、ボーカルだけ残したって感じのアカペラで、最初からアカペラを狙ったのではないってのは一発でわかるし、実際アルバムの最後にバンドバージョンが入ってるんだけど、とにかく最初のこの「Suzanne Vega - Solitude Standing - Tom's Diner Tom's Dinner」っつうアカペラが衝撃的だった。何度も何度もこれ聴いたなぁ。その次にちょっと聞きかじったことのあった「Luka」が来てさ、おかげでよく聴いたよ。そうすると当時レコードだったからやっぱりまとめて一気に聴くわけで、どれもこれもがエレクトリック楽器色なんて全然なくって質素な音と共に彼女の歌声が淡々と聞こえてくるっていう作品。あくまでも淡々と、なんだよ。それが浮かれた時代と相反していて余計に魅力的に聞こえた。だから名曲ばっかり入ってるって思える作品で、歌詞の意味も重要な人だったんだけどそれよりもそのシンプルさが新鮮だった。

 これも中古で見つけると多分500円くらいのハズだからリラックス用に聴いてみるのも一興かなと思うよ。アマゾンでも650円だしね(笑)。個人的にはアナログで聴くのに相応しいアルバムだと思ってるけどさ♪

Tracy Chapman - Tracy Chapman

Tracy Chapman  真摯な姿勢で切々と歌う人、そういう歌手は好きだと思う。多分他人の事とか周りの環境とか考えずに自分だけのために、そして自分の大切な何かのために奏でている音楽で、歌詞もどちらかというと内省的だったり社会性を持っていたりするものだろうけど、とは云え何かが大きく変わることなど期待していない、でも歌い続ける、それがアーティストだから、と。先進的な意味ではボブ・ディランなんかがそうであろうし、最近のは知らないけど多分誰かそういう人いるんじゃないかな。

 音楽的なアレンジに囚われないで切々と歌い上げる人ね。80年代末にはスザンナ・ヴェガが一番最初にそういったスタイルでシーンに出てきてバカ売れした。もちろん質素な音楽性が新鮮だったからだと思うけど。その後すぐにトレイシー・チャップマンが出てきた。これもまた見事に多くの人の心を捉えたものだが、一部ではスザンナ・ヴェガのぱくりと言われていたが、実際にはトレイシー・チャップマンが先にアルバムのレコーディングを終えていたんじゃないかな?わかんないけど。

 1988年リリースのファーストアルバム「Tracy Chapman」。暗くて重い、というかズーンと心に響くアルバムで、軽んじた評論や軽口などが叩ける作品ではないね。最初の「Talkin' Bout A Revolution」からしてもの凄く響く作品で、確かこれデビューシングルだったと思うんだけど、まだそれほど騒がれてはいなかった。自分的にはそれでも何故か知っていて、何か凄く質素で重みのある音だな、と思って聴いていた記憶がある。その後アルバムがリリースされて、ウレに売れた「Fast Car」が出てきた。もうねぇ、これは名曲だよ、ほんとに。凄く良い曲。歌詞がストレートに入ってこないのでピンとこない面もあるけど音だけでもこれは素晴らしい。切々と心に染み込む良い曲でさ、今久々に聴いたんだけどやっぱり感動した。なんて素晴らしいんだ、と。その後の「Across The Lines」もメロディから雰囲気から見事なもので、やっぱりアルバム全部が素晴らしくよく出来ているなぁと改めて思ったね。

 もともと黒人=アフリカ系アメリカ人だからってのもあるだろうけど、フォークギター一本で歌い上げるって実に珍しいアーティストで、その意味では白人の領域に出てきて勝負していたとも云える。そしてしっかりと打ち勝った珍しい人なのかもしれないけど、音楽はそういうことが簡単に打破できるものだよね。これ聴いてると思う。今でもフェイバリットで聴いている人いると思うけど、丁度こんな寒い日に聴いていると結構身に染みる。ロックの系譜で後追いしても出てこない人だけど、是非聴いてみてもらいたい素晴らしい音楽。

Tanita Tikaram - Ancient Heart

 アメリカ音楽産業ってのはひとつ売れ始めるとゾクゾクと同じような趣向のアーティストを発掘してきてはデビューさせていくもので、もっともこの手法は50年代から同じコトの繰り返しではあるのだが…。例に漏れず、スザンナ・ヴェガのシンプルに心に訴えてくるサウンドもアメリカの音楽産業にとっては新鮮な刺激だったようで似たようなアーティストを探し出してきてはデビューさせていった。ただしアメリカの凄いところはそれが単なる模倣や、一過性のアーティストではなくしっかりと基礎から叩き込まれた音楽の才能のある人間を見つけてくるものであって、そこが今の日本の模倣図とは大きく異なる。

 元々素地がデカイ国だからそういうことができるのだろうが、それでも模倣と思われてデビューしてくる新人の実力の凄いことと言ったら驚くべきものだ。スザンナ・ヴェガがぶち開けた穴に続いたアーティストとしてすぐに名が挙がるのはトレイシー・チャップマンだろう。黒人のシンガーソングライターでファーストアルバムはそれこそシンプルなアコギサウンドとメッセージ色の強い歌詞で一世を風靡したものだ。また1989年のデビューとなったがアランナ・マイルズなんてのも土着的なロックを歌うオンナっていうことでアイドル路線ではなく、どちらかというとプリテンダーズ的な路線でシーンに登場してきた。これもアトランティックからのデビューってことで話題になったしそのサウンドもかなり骨太なものだった。

  Tanita Tikaram - Sentimental Sentimental  そしてもう一人、あまりメジャーには成り切れなかったが、個人的には非常に面白いと思って当時結構聴いたのがタニタ・ティカラムという女性。1988年ワーナーからファーストアルバム「Ancient Heart」をリリース。当時はあまり情報源がなくって一体何者なのかさっぱりわからなかったんだけどネットで調べてみると色々とわかった。まず、ドイツ生まれのマレーシア系インディアンを母に持つ混血のドイツ人?で12際の時にイギリスに移住、そしてイギリスからデビューして世界へ、って感じらしいね。あまり顔をはっきり見ることがなかったのは売るための戦略か、ネットで見れる顔は混血女性そのもので確かに不思議な感じの人。鋭い目が彼女の性格を物語っているのかな。

 それで納得したのがそのファーストアルバム「Ancient Heart」に収められている楽曲群。アイリッシュ的なセンスとトラッド的なサウンドにどこかアメリカ的と言うのか土着的な大らかなサウンドが融合していたので、昔から不思議なサウンドだなぁと思って聴いていたんだよね。いいなぁ〜って思える瞬間瞬間はあるけど全てがっていう風にはならなかったのがその融合サウンドの難しいところ。ただねぇ、声と姿勢は凄く好きでさ、この人も芯の強い重みのある歌声をしていて、パティ・スミス的でもありクリッシー・ハインド的でもある、彼女たちが土着的な音楽を歌うっていう感じの声で引き込まれたね。

 セカンドアルバム「The Sweet Keeper」くらいまでは知ってたけどそれ以降は全然忘れてた。でも着々と活動していた見たいで2005年にも新作「Sentimental」をリリースしている様子で、こういう人こそ今ならロンドンのパブかどこかでふらりと気軽に見れる人なんだろうな。多分その方が格好良いだろうし、自然体の音楽をやっているのかなぁなんて思う。こういうのまで追いかけると気になるモノ多くなりすぎるんだよなぁ…。

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