The Chieftains / Dolores Keane / Clannad / Altan / Dolores O'Riordan



The Chieftains - Long Black Vail

ロング・ブラック・ヴェイル  アイルランドサウンドってやっぱいいなぁってことで聴いていたのがキャリアの長いアイルランドバンドの大御所、チーフタンズ。結成は1962年で65年にはレコードデビューしていたというからストーンズやビートルズなんかにかなり近いキャリアを誇っているし、しかも未だに現役バリバリで活動中というくらい。

 作風そのものは初期からず〜っとアイルランド伝統音楽の継承という作品が多いが、1990年頃からロックとの融合や、アチコチの国々の音楽との融合という試みを行っているが、個人的に気に入っているのは1995年にリリースされた「Long Black Vail」だ。何せ超有名ロックアーティストが総並びでゲスト参加して歌っているのだからたまらない。これほどのメンツを揃えられるのも多分このバンドとレスポールくらいじゃない?ちなみに参加者はスティング、ミック・ジャガー、シンニード・オコナー、ヴァン・モリソン、ライ・クーダー、マリアンヌ・フェイスフル、トム・ジョーンズと云ったところで、それぞれの個性を出しながら美しいアイルランド的な楽曲を歌い上げている。しかしアイリッシュ系のシンニード・オコナー、ヴァン・モリソンなんてのはわかるが他の面々もさすがに歌手ですな、さらりと伝承的音楽の旋律を歌ってます。

 で、同じように1999年にリリースされたもう一枚の「Tears Of Stone」もこれもまた女性ボーカル好きなファンにはたまらない作品で、こちらは更にマニアックな面々が揃えられている。ボニー・レイット、ジョニ・ミッチェルの大御所からザ・コアーズ、シンニード・オコナー、 シセルなどのアイルランド系のメンツと何故か矢野顕子など。違和感ないんだな、これが。矢野顕子はさすがに沖縄民謡的ケルト音楽を歌っているのだがアルバム全体で聴くとハマってる感じ。個々がものすごく個性的な歌い手のはずなのに一貫してチーフタンズの味付けがされているのも面白いけど、とにかく聴きやすくて心地良い。

 この二作は結構取っ付きやすくてよく聴いてるね。こういう新しい試みをサラリとやっていける自分たちの自信があるからこそ何十年もやってられるんだろうなぁ。この辺をまとめたベスト盤みたいなのもリリースされているのでいいかもね。

Dolores Keane - Night Owl

ナイト・アウル  アイルランドのシンガーによる楽曲はフォークとも現代音楽とも民謡とも区分けできない世界が存在している。エンヤなんてのもその筆頭なのだろうけど、90年代に入ってからもゾクゾクとそういう中間点での音楽を奏でて歌っている歌姫達が出てきていて、なかなか日本のメディアで紹介されたりするものでもないんだけど、アイルランド系の音楽って結構好きなのでちょこちょこ情報入手していると素晴らしい世界に出会えることもある。というかほとんどが素晴らしいものなので、何かで目にした時には大体手に入れていると言った方が正しいかも。

 ドロレス・ケーンという女性シンガーについても多分同じ理由で、どこかでヨーロッパで一番歌の巧い女性シンガーとして紹介されていたのと、それがアイルランド出身ということで気になったのだと思う。ところが全然別のトコロでフォークシーンを研究していたら同じ名前に出逢った。デ・ダナンというバンドのシンガーだったとのことで、ならば気になるので…、ってことで聴いてみることに。1997年リリースの本作「ナイト・アウル」から自身のプロデュースによる作品となり、これがドロレス・ケーンの表現したかった世界なのか、とマジマジと聴いてしまった一枚。

 一言で言うならば実力派シンガーによるシンプルな歌世界。哀しい曲は哀しく、周りと合わせる曲は周りと合わせて、民族的なものは民族的に、そしてカバー曲は原曲に忠実に、そのどれを取ってもドロレス・ケーンというカラーをしっかりと打ち出した、最初に聴いたキャッチコピー「ヨーロッパで一番歌の巧い女性歌手」というのはまったく頷ける声を聴ける。基本的に明るくないので、ノリでごまかせるようなモノじゃないからホントに巧いです。巧いっても感情表現も全部含めてという意味なので、聴いていて心地良い。涙流す曲もいくつもあって、素朴な歌とアコースティックで出来上がっている曲なんて、見事だなぁ〜と感嘆するのみ。

 自分は日本盤で手に入れたんだけどどうも今アマゾンとかにあるのとジャケット違うんだよね。まぁ、別に良いんだけど、何となく日本独自ジャケットのアルバムだったのかな、と嬉しくなる。いやいや、そんなマニアックな話に行く前に、ドロレス・ケーンの歌世界、ちと試してみて下さい。アイルランドの香りたっぷりの静かなアルバムです。

Clannad - Macalla

Macalla  アイルランド=音楽の国と昔から言われているように、シーンに登場するアイルランド出身の歌手やアーティストを見ているだけでもそんな感じがヒシヒシと伝わってくる。先のエンヤにしても兄弟姉妹が多い中でシーンに躍り出てきたワケで、元々はクラナドというグループを兄弟姉妹で結成していて、その環境の中で育っている関係上彼女もクラナドで歌を歌っているアルバムがある。しかしクラナドと言うグループも結成が古く、そして最初のアルバムリリースは1973年というから立派に歴史あるグループへと成長しているワケだ。

 特にこれが、というような感じでアルバムを聴いていたワケではないんだけど、初期〜中期くらいまではやっぱりスタンダードなトラッドが中心となったサウンドで、まあそれでもかなりポップさ加減が加わってくるんだけど、滅茶苦茶特色が異なるというようなアルバムはあんまりないんじゃないかな。1978年頃から82年頃までエンヤが在籍していて、あの多重録音による浮游感のある歌声ではなく素朴な歌を聴かせてくれるので結構貴重かもしれない。まぁ、なんだ、普通のトラッドの歌手じゃないか、と思えるようなもんだ(笑)。

 そうだなぁ、話題になったU2のボノとのセッション曲「Clannad & Bono - The Best of Clannad - In a Lifetime - In a Lifetime In A Lifetime」がクローズアップされた「マカラ」というアルバムが一番メジャーなのかな。何でもボノとクラナドのボーカルを張っているモイア・ブレナン=エンヤのお姉さんとは高校時代の同級生だとか…。そんなワケでデュエットが叶った作品だけど、うん、綺麗だよね。そして適度にポップでアイルランドの風はしっかりと封じ込められているので異色に感じるとこもある。やっぱホンモノは面白い。この辺からクラナドの横広がりっつうのが出てきたのかな、と後で思うんだけど、90年代に入ってくるとかなりデジタルっつうか新しいサウンドに彩られてきて、結構アイルランドのバンドも派手になるんじゃないかって思った。ホラ、大体アイルランド産って素朴だったりするからさ。

 そんなことでこの手のものはやっぱり女性ボーカルに限るんだけど、今や大御所バンドになったクラナドのモイアの声も突き抜けてくるから心地良い。で、今アマゾンみて思ったけど、「マカラ」ってジャケット変わってる…。

Clannad - Macalla Macalla

Clannad & Bono - The Best of Clannad - In a Lifetime The Best of Clannad - In a Lifetime

Clannad - Banba Banba

Altan - Blackwater

Blackwater  再びアイルランドに戻り今や大御所となったアルタンを取り上げてみよう。この人達、即ちマレードの人生なんだけどパッと経歴を見るだけでも既にドラマティックというのか、感情移入してしまう。もちろんそこから紡ぎ出される音楽が繊細で美しいからこそ納得感があるんだけどさ。だから今回は彼女たちの「Blackwater」を取り上げておきたい。

 1970年代後半マレードと当時はまだ結婚していなかった後の夫となるフランキーは二人とも教師をしていたが、二人して音楽好きでマレードは歌とフィドルを、そしてフランキーはフルートで密やかに音楽作りに励んでいたそうな。1979年になると二人の名義でいくつかの曲を発表し、1983年にはアルバムリリースできることとなり「北の調べ」として発売され、それから5年後にはもう一枚、決定的なアルバム「Altan」をリリース。ここで教師の道からは外れ、音楽家へと進むことにした二人はこの時のバックメンバーをバンドメンバーとして、バンド名にアルタンと付けたワケだ。まぁ、かっこいいよなぁ。

 で、問題はその後で、マレードの夫でもありバンドのリーダーでもあったフランキーが1994年にガンで他界してしまうのだよ。それでもバンドは続けろという遺言もあってマレードはバンドを継続して今に至るワケだ。で、その1994年の転機にリリースされたアルバムが「Blackwater」。アン・ブリッグスが世に出して有名にしたアレ、そしてジミー・ペイジがパクって更に有名にしたあの曲を取り上げたアルバム。もちろん他の曲もそういった背景を知ってから聴くとなるほど迫ってくるものがある。単純に音楽的にもハイレベルの代物だが、アルタンの音楽性を見事に継承しているし、これからも全く不安な要素がないような突き進み方でのサウンドはやっぱりいつ聴いても芯が通っていて響くものがある。そんな感じ。

 この手のバンドってパッと聴いただけだと正直どれを聴いててもあまり差がなくってBGM的に聴く方が多いんだけどアルタンはそういう意味ではやっぱり耳が惹かれるっていうサウンドなんだよね。理由はわからないんだけど、引き込まれる。これも初期よりも後期の方が好きだなぁ。結構ケルト系の音楽って古いのよりもちょっとアレンジされている方が好き…ってことは市場にハメられているのかもしれない(笑)。

 ちょっと前にタワーレコードの特売コーナーでアイルランドの原曲ばかりを集めた3CDがあって、安かったのでさっと購入したんだけどこれはねぇ、やっぱりダブリナーズみたいなもんで安い酒場での音楽の寄せ集めなので煌びやかさは全くなくって、でもアイルランドを感じさせる曲ばっかでさ。どっちかっつうとシン・リジィ的かもしれん。原曲は原曲でいいけど、それから進化させたものの方がね、やっぱり良いんだよ。

Altan - Blackwater Blackwater

Frankie Kennedy & Mairead Ni Mhaonaigh - Altan Altan

Altan - Island Angel Island Angel

Dolores O'Riordan - Are You Listening

Are You Listening  個性的な歌姫も多数いる中で今の時代に歌声だけで個性を出している人の一人でもあったクランベリーズのドロレス嬢。結婚出産という女性ならではの成長過程を経て、2007年に、というかついこの間クランベリーズ沈黙後初の活動成果をリリース。

 「Are You Listening」 フルアルバムでどんなキュートな作品かと思いきや、いやぁ…それほどクランベリーズに詳しいワケじゃないんだが、クランベリーズとほとんど変わりのない作風が並ぶソロアルバム。

 個性的に歌を聴かせるものもあればしっかりとロック風にアレンジされた中で歌うモノ、そして生ギターバックに歌い上げるバラードなどなどバリエーションはかなり広がっているもののドロレス嬢の歌は相変わらず。しかし、そうだなぁ、ちょっと深みが出てきたのかな、という気がする。もっとキャッチーに歌ってたような面もあったからさ、まぁ、若さだったのかもしれないけど、それがやっぱりしっとりと深みを見せて歌い上げてるようなのが多くなった。当然と言えば当然だけどさ、でも相変わらず中音から高音に行く時の独特の粘っこい声質は健在でいいね。

 こういう歌声の人は珍しいからマイペースでいいのでアルバムリリースし続けてもらいたいね。自分でも思い出したら聴くって感じだけど、聴くと惹かれるのはわかってるからたまにあってほしい歌声。そういうのって何かしらあってさ、コアーズに期待が持てない今、彼女には頑張ってもらいたいなぁ。バンドである必要性はないけどさ。

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